「世界史の眼」特集:「イスラエルのガザ攻撃」を考える 3(2023年11月26日)

報道のバイアス

 英国放送協会(British Broadcasting Corporation BBC)所属の8人のジャーナリストたちが、11月23日までにアルジャジーラに書簡を送り、イギリスの報道機関が今回のガザ地区におけるイスラエルとパレスチナの戦争の報道において、偏向が顕著で、公正な報道がなされていないとBBCを批判した。

As Israel pounds Gaza, BBC journalists accuse broadcaster of bias | Israel-Palestine conflict News | Al Jazeerahttps://www.aljazeera.com/news/2023/11/23/as-israel-pounds-gaza-bbc-journalists-accuse-broadcaster-of-bias

 論点は、いくつもあるが、主なものを上げておこう。

  1. BBCの報道は、「歴史的コンテクスト」を無視した報道をしている。
  2. ウクライナでのロシアの「戦争犯罪」については容赦がないのに、ガザでのイスラエルの戦争犯罪には触れていない。
  3. 「虐殺」や「残虐行為」という言葉をハマースについてだけ使っていて、イスラエル側には使っていない。
  4. パレスチナ人に比べて、イスラエル側の「犠牲者」を人道的に扱っている。イスラエル側の犠牲者については、名前などを挙げたり、家族のインタヴューを報じたりしているが、パレスチナ側の犠牲者については全く無視している。

 こうした論点を上げて、BBCはアメリカやイギリスの政府の意向を反映していて、双方について公正に人道的な報道をしておらず、読者・視聴者に正しい理解をする材料を提供していないと批判したのである。

 これは、日本の大手メディアにもそのまま当てはまる批判であろう。そういうバイアスを乗り越えるためにも、次にアルジャジーラなどからのアラビア語からの情報を藤田進さんの翻訳で紹介する。

 また、BBCのジャーナリストたちが批判するように、報道には「歴史的コンテキクスト」が全く無視されている。そのコンテクストを理解するためには、1948年にイスラエル国家ができたことの意味を知っておく必要がある。この問題についての藤田さんの論稿を数回にわたって、掲載する。

(南塚信吾)

藤田進
イスラエル軍ガザ攻撃47日目の今

藤田進
「ユダヤ人国家」イスラエルはどのように実現したのか―分割され奪われ続けるパレスチナ (1)―

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