世界史研究所のメンバーが執筆に加わった、南塚信吾・油井大三郎・木畑洋一・山田朗『軍事力で平和は守れるのか-歴史から考える』(岩波書店)が、刊行されました。近代以降の戦争と平和をめぐる歴史を辿りながら、世界史の問題として、軍事力の持ってきた意味や平和を求めてきた人々の営為を分析しています。ウクライナ戦争に終わりが見えず、また、「新しい戦前」とも形容される近年の状況の中、この問題を考える視点を提供しています。是非ご一読下さい。
岩波書店による紹介のページは、こちらです。こちらから試し読みもできます。また、本書は、各プラットフォームより電子書籍としても同時に発売されています。
新聞各紙にも広告が掲載されました。
本書の目次は以下の通りです。
はじめに
第Ⅰ部 ウクライナから考える
第1章 ウクライナ戦争はどのようにして起こったのか………南塚信吾
Ⅰ ウクライナの独立から「マイダン革命」まで
Ⅱ 決定的転機
Ⅲ 西側に傾斜するウクライナ
Ⅳ 戦争回避の最後の可能性
第2章 NATOの東方拡大は戦争を抑止したのか………油井大三郎
Ⅰ ドイツ統一とNATOの東方不拡大の「公約」
Ⅱ 米ロ協調とNATOの東方拡大の間
Ⅲ「対テロ戦争」以降のNATO東方拡大
コラム1 ユーゴスラヴィア紛争からの教訓………山崎信一
第Ⅱ部 近現代世界史の中の戦争と平和
第3章 どのような戦争が起こってきたか………木畑洋一
Ⅰ 帝国主義の時代と植民地戦争
Ⅱ 二つの世界大戦
Ⅲ 冷戦と脱植民地化
Ⅳ 冷戦後の戦争
Ⅴ ウクライナ戦争の性格
第4章 軍拡が戦争を呼び起こす………山田 朗
Ⅰ 軍拡と戦争の惨禍──第一次世界大戦
Ⅱ 軍縮とその抜け道
Ⅲ 大量殺戮を招いた軍拡──第二次世界大戦
Ⅳ 終わらない軍拡
第5章 戦争を許さない世界を求めて………木畑洋一
Ⅰ 「無差別戦争観」と戦争法
Ⅱ 戦争の違法化
Ⅲ 国際連合のもとで
Ⅳ 国際人道法の模索
Ⅴ ウクライナ戦争と国際規範
第6章 平和を求める運動はやむことはない………南塚信吾
Ⅰ 近代の平和思想と平和運動
Ⅱ 平和運動と社会主義
Ⅲ 「核」時代の平和運動
Ⅳ 市民運動と平和──運動の多様化
Ⅴ 「ポスト冷戦」期の変化
Ⅵ ミクロ化する日本の平和運動
コラム2 武力で平和は守れない………藤田 進
第Ⅲ部 日本をめぐる戦争と平和
第7章 日本の戦争から考える──軍事同盟と〈戦争放棄〉………山田 朗
Ⅰ 「脱亜入欧」・軍事同盟路線の成立
Ⅱ 「成功事例」の再現をめざした大陸侵攻
Ⅲ 打開のための日独伊三国同盟
Ⅳ 戦後の軍事同盟と自衛隊
Ⅴ 改憲と護憲の対抗
第8章 東アジアの戦争をどう防ぐか………油井大三郎
Ⅰ 米中覇権争いと東アジア
Ⅱ 北朝鮮の核ミサイル危機にはどう対処すべきか
Ⅲ 台湾有事論に根拠はあるのか
Ⅳ 東アジアの緊張をどう緩和させるか
コラム3 「バンドン精神」はどのように継承されているのか………小谷汪之
おわりに 戦争と平和を歴史から考える………木畑洋一